目次
はじめに
インプラントという言葉は聞いたことがあるものの、治療前にどんな検査を行うかまでは知らない・・という方がほとんどでしょう。
インプラント治療とは人工歯根をあごの骨に埋め込む治療で、外科的手術が必要な治療法です。
ですので、手術前にはしっかりと問診を受け治療の支障となる疾患がないかどうかをチェックする必要があります。
ですが、病気があっても本人がそれに気づかない場合もあるため重要となるのが術前検査で、術前検査は治療を安全に進めるうえで大変重要なものです。
この検査ではどういったことをチェックしているのか、検査の種類にはどういったものがあるのかなどをご紹介します。
インプラント手術の前に行うべき検査
問診
まず、最初に問診を行います。
問診では既往歴や現在持っている疾患などについて聞かれます。
インプラント手術では出血や痛みを抑えるための麻酔を使用したり、術後の痛みや感染を防止するため薬を服用したりします。
もし、重い病気にかかりながら外科的手術を受けてしまうと、埋め込んだインプラントが骨と結合しない、全身状態が悪化する・・などのトラブルの原因になります。
ですので、当てはまるものがあればきちんと歯科医師に伝え、治療法の検討のため場合によってはかかりつけの医療機関に連絡する場合もあるため連絡先を持って行く方がいいでしょう。
また、飲んでいる薬があればその説明書や薬自体を持って行き歯科医師に見せるようにしましょう。
外科手術の際に飲む薬と重なっていないかどうか、飲み合わせはどうか・・などをチェックする必要があるからです。
この時、以前骨粗鬆症の内服薬や注射などの治療を受けたことがある場合は必ず伝えましょう。
もし、骨粗鬆症の薬の調整をせずに外科的手術を受けてしまうと、最悪あごの骨が壊死することもあるからです。
口腔内検査
噛み合わせや歯ぐきの状態などをチェックし、インプラントのサイズや埋め込む位置を検討するための検査です。
もし、虫歯や歯周病、噛み合わせのトラブルなどがある場合、インプラント治療を開始する前にしっかりと治療を行っていきます。
レントゲン検査
インプラントを埋め込むにはあごの骨に高さと厚みがじゅうぶんにないとできません。
そのためにも、レントゲン検査であごの骨と歯の形状を確認しておくことが必要です。
CT検査
この検査はコンピュータ断層撮影のことでコンピュータとX線を使い、撮影したところを断面画像で見ることが可能です。
この検査データを元にしてコンピュータ上でシュミレーションを行ったりもします。
心電図検査
心電図とは心臓を収縮させる際に発生する電気信号の伝達を体外から検知し記録するもので、この検査によって電気信号の伝達障害や不整脈、虚血性心疾患・・などがあるかどうか確認できます。
虚血性心疾患とは聞き慣れない疾患ですが、これは冠動脈と言われる心臓の筋肉に酸素や栄養を供給している動脈が狭まったり詰まったりし、血液が十分に供給できなくなる疾患のことです。
この疾患には心筋梗塞や狭心症などがあり、インプラント治療を行う際のストレスでそういった疾患の発作が起きることがあるため、しっかりと術前に検査をしておくことが必要です。
胸部レントゲン撮影
胸部レントゲン撮影によって心臓の大きさを確認でき、大きくなっている場合は心肥大が疑われ機能が低下している可能性があります。
血圧測定
インプラント手術前に何度か血圧を測り、普段の血圧がどの程度か把握しておく必要があります。
血圧が高い場合にはインプラント治療中に脳梗塞や脳出血が起きることがあるため内科を受診することがあります。
尿検査
重度の腎疾患の場合、血が止まり難い、傷が治りにくい、インプラントとあごの骨が結合しづらい・・などの可能性があります。
以前尿検査で異常があったにも関わらず通院や検査を受けていない、長期間健康診断を受けていない・・などの方は尿検査の結果が必要になることがありデータがない場合は医療機関で検査を受ける必要が出てきます。
血液検査
インプラントをあごの骨に埋め込む手術の前に、外科的手術を受けられる体調かどうか、血が止まりにくくないか・・など、全身の健康状態を確認するために血液検査を行う必要があります。
血液検査の1年以内のデータがない場合、歯科医院かかかりつけの医療機関で検査を受ける必要がありますが、患者さんの年齢や外科的手術の範囲、問診内容によっては血液検査が不要なこともあります。
アレルギー検査
あごの骨に埋め込むインプラントはチタン製のため、一般的にアレルギーは起こりづらいと言われています。
ただ、中にはアレルギー-反応が出てしまう方もいるので、問診でアレルギー症状があると分かった場合、治療前に血液検査や皮内テストやパッチテストなどのデータが必要になります。
これらのテストを受ける場合、皮膚科を受診することがほとんどです。
インプラント手術前に患者が気をつけること
インプラント手術を受ける前にしっかりと検査を受けることも重要ですが、同時に患者にも気を付けるべきことがあります。
たばこやアルコールが習慣になっていると、骨とインプラント体の結合に悪影響が及ぶことがあるのでなるべく控えましょう。
また、高熱が出た場合などは手術できませんし、軽い体調不良でも手術後の症状や傷の治癒に悪影響がある場合があるため、体調管理を万全にしておきましょう。
まとめ
一般的な歯科治療を行う前に、血液検査や尿検査を行うことはほとんどありません。
ですが、手術を行う前はこういった検査の重要性は理解されています。
外科的処置を行う前には必ずさまざまな検査が行われています。
その理由は外科的手術に支障のない疾患を持っていても、それに気づかないケースがあるからです。
もし、そういった疾患に気づかないまま外科的手術を行ってしまうと、命の危険にさらされてしまうかもしれません。
ここでご紹介したさまざまな検査をしっかりと受けていただき、安心、安全にインプラント治療を受けていただきたいです。
そのためにも、しっかりと術前検査を行ってくれるクリニックを選ぶようにしましょう!